小児がんの治療成績が向上してきたいま、私たちは命を救うだけでなく、治療を終えた子どもたちがその子らしく学び、遊び、働きながら人生を歩んでいけるよう、その後の人生まで支える医療を実現したいと考えています。
未来を担うこどもたちのために、温かいご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。
これまでの研究と課題
小児がん治療研究
日本では毎年約2,000~2,500人のこどもたちが新たに小児がんと診断されています。近年の治療法の進歩により、小児がん全体の治療成績は大きく向上し、多くのこどもたちが治療を乗り越え、長期生存を達成できるようになりました1,2)。
しかしその一方で、現在でも治療に難渋する小児がんは存在し、さらなる治療法の開発が求められています。千葉大学小児外科では、かねてよりがんの本質に迫る研究や、より効率的にがんを攻撃し副作用を減らす新しい治療法の開発に取り組んでいます。



新たな課題
多くの患児が治療を乗り越えて長期生存を達成するようになってきましたが、小児がんの治療では化学療法、手術療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療が行われます。長期の入院を要し、生活環境の急激な変化、点滴ラインや医療モニターの装着、抗がん剤の副作用により、治療中の小児は身体活動や栄養摂取量の著しい低下、睡眠の質の悪化など、身体的・心理的に多大な負担を強いられ、治療開始後に筋肉量や身長、体重が基準値より低下していきます3)。また、小児がんの治療終了後においても、フレイル(虚弱)、サルコペニア(筋肉量・筋力低下)、身体機能低下が若年成人期から認められることが報告4,5,6)されており、治療中の急性期の影響が、慢性的な健康問題として持ち越され、健康寿命や生命予後にも影響すると考えられています。

新たに取り組もうとしていること
小児がん治療中の患児における身体活動・睡眠・運動機能・体組成・栄養状態をウェアラブル機器、運動機能分析装置、体組成分析装置、間接熱量測定等を用いて客観的かつ継続的に評価し、治療中にどのような変化が起こるのかを明らかにします。さらに得られたデータを統合解析し、健康予後改善を目指した栄養治療と身体的・心理的支援プログラムを開発することを目指します。


