千葉大みらい医療基金

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肺・腸内マイクロバイオーム解析に基づく原発性肺癌の病態解明

助成金の用途

消耗品費(DNA抽出キット、組織破砕用のビーズチューブ、PCRプライマー、Taq DNAポリメラーゼ)

研究概要

「ピロリ菌」や「ヒトパピローマウイルス」といった特定の微生物が、悪性腫瘍の発生や進行に関わる可能性があることが知られています。近年では、腫瘍組織内に存在する微生物の集まり(マイクロバイオーム)が、腫瘍の発生や癌の進行に関与している可能性が注目されています。腫瘍内マイクロバイオームは、腫瘍周辺の環境に影響を与える重要な要因として考えられています。腫瘍周囲での炎症を誘発したり、免疫系の働きを調整したりすることで、腫瘍の増大や転移を促進する可能性があります。また、腫瘍内に特定の微生物が存在することで、治療効果や患者さんの予後にも影響を及ぼす可能性も示唆されています。
特に、消化器系の悪性腫瘍では、腫瘍内に特定の菌種が増殖しているケースが報告されています。これらの菌が治療に対する腫瘍の抵抗性を高めたり、免疫応答を抑制したりすることで、治療効果が低下する可能性があると考えられています。
このように、腫瘍内マイクロバイオームは、腫瘍の進行や治療の成否に深く関わる可能性があるため、これを標的とした新たな治療戦略が模索されています。腫瘍内マイクロバイオームの研究は、がん治療の新たな可能性を開く鍵となるかもしれません。

現治療の課題

肺がんは、我が国で最も多くの死亡者を出す悪性腫瘍の一つです。早期の肺がんに対しては、外科的切除が標準的な治療法とされており、生存率は少しずつ改善しています。しかしながら、ステージ2以上の患者さんでは、手術を受けた後でも約半数以上が再発するという現状があり、治療成績をさらに向上させることが大きな課題となっています。
手術を行う前後や再発時には、免疫チェックポイント阻害薬を含めた化学療法が治療法として用いられる場合があります。この免疫療法を含む治療法は、近年の研究で一定の効果が示されていますが、治療を開始する段階で、どの程度の効果が得られるかを事前に予測することは依然として困難です。
特に再発や進行がんの治療においては、患者ごとに異なる腫瘍の性質や免疫応答が治療効果に大きく影響を与えるため、個別化治療のさらなる進展が求められています。このような背景から、治療効果を予測するバイオマーカーの発見や、新しい治療戦略の開発が期待されています。肺がん治療の進歩は、患者さんの生存率を向上させるために欠かせない重要な課題といえるでしょう。

本研究によって切り開かれる医療の未来

肺がんの腫瘍からは、腫瘍組織内に存在するマイクロバイオームが検出されることがわかっています。しかし、その存在が患者さんの予後や治療効果にどのように影響するのかについては、まだ多くの謎が残されています。本研究では、肺がん腫瘍検体から細菌のDNAを抽出し、マイクロバイオームの量や種類を詳しく調べることで、患者さんの臨床的な特徴や病理学的な所見との関係を解析します。
具体的には、腫瘍内に存在する特徴的な細菌叢の分布や偏りを明らかにし、それを基に術後再発のリスクを予測するモデルの構築を目指しています。また、再発を経験した患者さんに焦点を当て、免疫療法を含めた治療の効果と腫瘍内マイクロバイオームとの関連性を検証します。これにより、治療効果を事前に予測する新たな指標を見つける可能性を探ります。さらに、腫瘍内の細菌叢と唾液中の細菌叢との関連性も解析します。もし腫瘍内の細菌叢と唾液中の細菌叢に明確な相関が見つかれば、簡単に採取できる唾液を活用して術後の再発リスクを評価できる方法を提案できるかもしれません。

上記のように、肺がんは日本で、また世界でも最も死亡者数の多いがんの一つであり、再発を防ぎ、治療効果を高めるためには新たなアプローチが必要です。その一環として、腫瘍内あるいは周辺に存在する微生物ががんの進行や免疫の働きにどのような影響を与えるのかを調べることが、今後のがん治療を進める上で重要な課題とされています。皆様からの寄付金を活用し、肺がんの診断や予後予測、治療効果の向上に貢献する研究を進めてまいります。その成果から大きな社会への還元が出来ることを期待しています。どうぞ引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

寄付者へのメッセージ

皆様から頂いた寄付金を大切に活用させて頂き、癌の診断や治療に結び付く研究成果を目指し、社会に還元できるように努めて参ります。

この研究を支援する方法

千葉大みらい医療基金では、寄付をする際に寄付金の活用先を任意の領域や研究に指定することができます。この研究をご支援頂けます場合は、「呼吸器病態外科学」とご指定ください。

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